



Feature-4
インフラ整備から人材育成・運営支援へ
ラオス・フアバン県ビエンサイ村、ご存じですか?…その4
2025.05.5



2025年1月、3度目の渡航は念願だった美しい桜が出迎えてくれました。この時期の朝夕の冷え込みは厳しく、吐く息が白くなるほど。ダウンジャケットが手放せません。改めて山岳地帯であることを実感します。
一年半にわたり、調査と制作を進めてきたビエンサイ村サイン計画とウォーキングマップ、現地ではビジターセンター改築とパネル展示が完成。ビエンサイ村の方々がこうした新たなインフラやツールを充分活用できるよう、第3期へ向けて観光開発支援事業は人材育成や運営スキル等の支援へとシフトしていきます。今回は第2期の締めくくりとしてのフィールドワークが実施されました。
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前回シミュレーションしたモデルツアーで半日コースをつくり、マップを手に案内サイン確認しながら、参加者全員で歩いてその内容をチェック。現地の参加者による「織物コース」「歴史コース」が用意された。
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近隣の観光拠点となる建設中の大規模観光施設と、開発が進んでいるナムヌア滝周辺を見学。車で行ける3つめコースとして半日モデルツアーを実施。
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桜公園にて桜と桜育成事業、ビジターセンターでは展示見学し歴史解説とそれぞれのレクチャーを体験する。
フィールドワークの前後にミーティングが行われ、発掘した観光資源に対し、フアバン県と協力しながら「コミュニティガイド(一般在住者が観光客を案内)」の育成について具体的な検討もなされました。
今回印象に残ったのは、歴史ツアーの中で語られたこの村の由来——「ビエンサイ」とは潜伏した革命軍のリーダー・カイソン氏のコードネームだった等——この地でしか知り得ない情報、ビジターセンターに新たに設置された展示内容、メインの観光スポットの洞窟群とが絶妙にリンクされ、歩いて廻れるコンパクトな観光地の良さが際立ってきたことです。
2025年は日ラオ国交70周年という記念すべき年。南北4㎞東西2.5㎞ほどの小さな村に点在する観光スポットが有機的につながり、新しい『名所』として内外の観光客を獲得することが期待されています。




ビエンサイ村情報
フアバン県の東に位置し、ベトナム国境に面する。ビエンチャンから連日運航される航路で1時間。2023年竣工のノンカン空港より車で40分。ラオ、タイデン、ヤオ、モン、カムの5民族が在住する人口約33000人の村。1964年~1973年まで、ラオス愛国戦線司令部及び市民が500を超える洞窟群内で避難生活を送る。1992年、ラオス政府はビエンサイ洞窟群を国家遺産として登録。
*ADDP
特定非営利活動法人NPO アジアの障害者活動を支援する会
1992年よりアジア各地で障害者支援活動を行う。ラオスでは障害者のスポーツ振興支援、教育支援事業、就労支援事業等を行っている。2015年、ビエンサイ村でのろう者就労支援として開始した桜公園桜育成プロジェクトやカフェの運営は、新たな観光名所・観光開発事業へと発展している。2023年3月「フアバン県ビエンサイ村PPT戦略アプローチによるインクルーシブな地域活性化事業」に着手。
*株式会社 ジャンピングツアー
ラオス専門の旅行会社。ラオス情報文化観光省・観光部駐日代表事務所。日本ラオス協会会員。ビエンサイ村・地域活性化事業でプロデュース、コーディネートを行う。