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日本の桜が出迎える新たな観光スポット

ラオス・フアバン県ビエンサイ村、ご存じですか?…その2

2024.05.08

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前回では洞窟群のある独特の景観と革命の歴史的背景をもつビエンサイ村の様子をご紹介しました。この地で長期にわたり就労支援、教育支援、観光開発事業を続けているのが日本のNPO 、ADDP* (敬称略)です。

2012年、ADDPは障害者実態調査のために初めてこの地を訪れました。その際フアバン県知事から「新たに建設する公園に日本の桜を植えて欲しい」との依頼を受けて2014年に建設された日ラオ友好公園に桜の苗木を植樹。しかし気候の異なるビエンサイに日本の桜を根付かせることは容易ではなく、試験植樹、苗木の搬送と移植・管理、日本人専門家の派遣など10年以上の歳月をかけて桜を育ててきました。こうした一連の作業は聴覚障害者を含む現地スタッフが主に担い、また2020年に敷地内に併設されたカフェ「Minnano café(みんなのカフェ)」ではパンやお菓子作りといった新たな仕事も生まれ、桜公園事業はインクルーシブな就労の場を実現しました。

 

この活動は、近年ビエンサイ村の新たな観光スポット創出にもつながっています。移植された6種類の桜のうち、特に元気に育ったのはカンヒ桜(琉球桜)。桜公園では他種の桜と併せ、開花時期が12月初旬〜1月末頃と長く、期間中には中国、韓国といった近隣諸国の観光客が訪れているとのこと。また近くに暮らすモン族のお正月と時期が重なるため、正装した彼女らがお花見にやってくるようにも。今回モン族の女性達と桜の写真をみせていただいた時にはあまりの絵になる美しさにはっと息を呑みました。

今回(2023年)の来訪では現地のご厚意で、ご近所のモン族やヤオ族の方々の住まいを案内していただきましたが、民族衣装となる織物や刺繍の美しさ、技術の高さ、そうした文化が生活に溶け込んでいる様子などを垣間見ることができました。そういえば村のあちこちの家でシンプルな機織り機を見かけ、近づいて見せていただくと、機械の素朴さとはかけ離れた複雑な模様に目を見張ります。フアバン県はラオス有数の織物を生む地域。優れた製品を見るだけではなく、ここに暮らす人々の暮らしや文化にも触れることができたら旅はいっそう楽しいものです。桜公園には、桜の開花とともに今後こうした地域の魅力を発信していくポテンシャルの高さを感じました。

すでに桜公園のそばに大型ホテルの建設が着工され、またベトナムからビエンサイ村へ直接アクセスできる定期的な長距離国際バスの運行も準備されているようです。カフェのおいしい焼きたてクロワッサンを頬張りながら、日本の桜を見るためにいつかまたここへ来たい。そう思ったのでした。

取材協力:ADDPジャンピングツアー

*ADDP 

特定非営利活動法人NPO アジアの障害者活動を支援する会

1992年よりアジア各地で障害者支援活動を行う。ラオスでは障害者のスポーツ振興支援、教育支援事業、就労支援事業等を行っている。2015年、ビエンサイ村でのろう者就労支援として開始した桜公園桜育成プロジェクトやカフェの運営は、新たな観光名所・観光開発事業へと発展している。

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