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2025/9/1

キレイだけじゃない

シンに詰まったラオスの世界

◇後編◇

in Viengxay

蚕が食べ残した桑を蒔いてから新しい葉を収穫

布を被せて静かな環境で蚕を管理するヌイさん。7つの竹鍵でおよそ2㎏ほどのシルクが取れる

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左:収穫したばかりのつややかな桑の葉 右:蚕の糞はお茶として商品に

2025年6月、私たちは織物の仕事に従事する方々のお話をうかがい,作業を見学させていただきました。ビエンサイ村の織物はまず養蚕から始まります。

村の一角には2011年に国連環境プログラムで認定された1800平米・500本の桑畑があります。現在は村が管理し、許可された7世帯がこの畑を使用。蚕の卵は主にベトナムの専門業者から買い付けるとのことです。蚕は大変デリケートで匂いに敏感なため、タバコや香水などはNG。また濡れた桑の葉は餌として与えることができない、死んでしまった蚕を見つけたら、竹籠全体をレモングラスや石灰ですぐに消毒しなければならないなど、飼育は手間のかかる作業です。蚕が孵化して繭になるまでは30日ほど。桑の葉が育つ3月から10月までの間に7サイクルほど繰り返され、繭の保管、製糸・染色、機織りは通年行われています。

蚕を育て、繭から白い糸を、あるいはその糸を染色して出荷するまでを仕事とする方、養蚕から機織りまでの全課程を経て製品をつくる家族、糸を購入して織りだけを請け負う家族など、仕事の範囲は世帯によってさまざまです。織りの技術はみな母親から伝承され、早い方で8才ごろから、多くは10代前半から本格的に身につけていきます。要となる織りのパターンは代々伝わってきたもの、織りたいイメージをスマホで送り専門家に依頼する、自分でパターンをつくるなど、こちらもいろいろなケースがあるようでした。

桑畑見学中、畑を使用している女性が偶然通りかかり、作業を見ることができました。木の根元に肥料として蚕の食べ残した葉や茎を蒔き、葉を収穫していく姿は印象的です。蚕の糞はお茶として、サナギは食材として販売できることも知りました。無駄なく廃棄物のでない「自然な循環」そのものです。

織物を通じたラオスの世界は、歴史や伝統はもちろん、継承された生産課程が結果的にSDGs最前線のヒントとして、未来へつなぐ可能性をも示唆しています。高品質で味わい深い、人の手によるものづくりは、いつの時代も私たちの憧れをかき立て、魅了していくことでしょう。

ビエンサイ村では現在NPOと協力しながらシミュレーションを重ね、コミュニティガイドによる「織物見学ツアー」を開発中。既存の洞窟遺跡や桜公園とともに、地域の魅力を発信・体験できる人気ツアーとして期待されています。

染色する前の生糸。ビエンサイ産は丈夫なのだそう

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織りの模様を決める糸状のガイドには縦型(左)と横型(右)がある。見学するも、私たちにはどうやって手元の作業に反映させているのかナゾだ

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お店番をしながら織りをするチッタワンさんは8才から母に習い始めた

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サントーンさんは小学校の先生。こどもたちに織りを伝えたいという

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市場の一角で仕事をするワンさん。商品は隣のお店で販売

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オイさんは村の要職をにありながら高度な織りの技術を持つ

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繭づくりを始める時期に、蚕を専用の竹の型(まぶし)に移動させると糸を吐いて右のような状態になる

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中のサナギを取り出し,糸を取り出して撚糸していく

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いつも笑顔のサムさんは専業の織り手。1週間でほぼ1枚完成する早さ

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ペンさんは養蚕〜織りの全工程を行う。糸紡ぎの道具も見せていただく

染色は安定した色味が出せるケミカルが主流になっているととのこと

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子育て中のペンワンさん。お嬢さんも織物に興味しんしん

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ブアポーンさんご一家も全工程を行う。カラフルなパターンが得意

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ラーさんご一家も全工程を行う。お母さんは養蚕、姉妹は敷地内の2か所で織りを。パターンも自身でつくる。今の時期はシンのパーツが多いそう

恋するラオス編集倶楽部[土屋デザイン室内]

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